乳がんの術後ブラジャー、前開きや大きいサイズなど、種類をご紹介!

乳がん、例え治療が終っても下着選びの悩みはその後も続く。

手術・治療の方法によって違う機能を求めなければならないが、それに加えてデザインや肌ざわりにもこだわりたいのが女心と言うもの。下着とは、ただただ身体に身に着ける布切れではなく、あなたのいちばん近くでいちばん長い間、肌に触れている大切なものである。

31歳で乳がんが見つかり全摘手術を受けてから全摘歴5年、その後乳房再建手術を受け、ティッシュエキスパンダー挿入歴1年半、その後自家組織再建(太もも移植)を受けた者として、当事者目線で乳がん治療と下着についてお伝えしたいと思う。下着選びをするにあたり重要になる乳がん治療についても基本的な情報をお伝えします。

※このコラムは医療者ではない、患者視点から書いております。よって正確な医療情報については、厚生労働省もしくは国立がん研究センターのホームページの閲覧をおススメいたします。M(  )M
厚生労働省がん対策情報
国立がん研究センターがん情報サービス

<目次>

目次

知っておきたい、乳がん治療の種類

手術

手術室の画像

乳房部分切除術(乳房温存手術)

乳房の一部を切除する手術方法です。通常、手術後に放射線療法を合わせて行い、再発を防ぎます。

乳房全切除術

乳房をすべて切除する手術です。乳がんが広く広がっているケースや、多発性(複数のしこりが離れた場所ある)の場合に行われます。ちなみに、私の場合は、石灰化がいくつも点在していたため部分切除の選択肢はありませんでした。

乳房再建

乳房再建とは、自家組織(自分の脂肪や筋肉)やインプラントなどの人工物を用いて、新たな乳房をつくることです。乳房は元通りにはなりませんが、新たにつくる事ができるのです。乳がんの手術と同時に行う一次再建(同時再建)と、数カ月から数年後に行う二次再建とがあります。

私は、全摘手術から5年後にティッシュエキスパンダー挿入手術、その1年半後に自家組織再建を受けました。(二次二期再建)


乳房再建手術も身体的・経済的負担のある手術である事には変わりありません。主治医、形成外科医とよく相談をしてから決める事をおすすめします。

緩和ケア・支持療法

これらの治療と合わせて緩和ケアが行われます。緩和ケアと聞くと「もうできる治療がない」「ターミナル期での痛みのコントロール」のようなイメージがあるかもしれませんが、そんな事ありません。実はがんと診断されたときから、行われています。QOL(クオリティ・オブ・ライフ=生活の質)を維持するために、心と身体のさまざまな痛みに対する症状を和らげ、自分らしく過ごせるようにしていくのです。

治療方針の決定

医師の画像

治療法は、病気の事を一番よく知っている医師または医療者が全て決定するのでしょうか?いえ、そんな事ありません。自分の将来設計や希望を伝える事が非常に大切です。標準治療を基本として、体の状態、年齢なども含めて、担当医と当事者が一緒に考えて決定していきます。

薬物療法

薬の画像

化学療法

細胞の増殖の仕組みの一部を邪魔することでがん細胞を攻撃します。がん以外の正常に増殖している細胞も影響を受けます。がんの治療でみなさんが一番に想像されるのはこの治療、そして脱毛や吐き気などの副作用ではないでしょうか。しかし最近は、特に吐き気や嘔吐に対しては以前と比べて多くの人が予防できるようになってきているようです。

分子標的薬

がんの増殖に関わるタンパク質、栄養を運ぶ血管、がんを攻撃する免疫に関わるタンパク質などを標的にしてがんを攻撃します。

ホルモン療法

ホルモンの分泌や働きを抑え、ホルモンを利用して増殖するがんを攻撃します。副作用の出方は人によって本当に様々ですが、ホットフラッシュ(多量の発汗、のぼせ、ほてりなど)や気分の落ち込みなど更年期症状に似た症状に悩まれている方のお話を聞いた事があります。5~10年と治療期間が長いのも特徴だと思います。

放射線療法

がんにX線を照射することで、がん細胞を死滅させたり小さくしたりします。乳房部分切除術の後には合わせて行われる事が多いですが、全摘手術の場合でも行われる事があるようです。通常、1日1回、週5回で約4〜6週間かけて行われます。手術のように身体にメスを入れるわけではありませんが、副作用が出る事もあります。


放射線治療時、乳房再建前はペンでデザインをする場合があり、薄い色の下着には色が写る可能性があります。

再建手術前のデザインの画像
乳房再建手術前のデザイン

乳がんブラジャーの種類

乳がんブラジャー前開き

術後すぐは痛みがあったり、肩より上に腕を上げないように指導があったりするため、前開きのブラジャーが使いやすく無難でした。特に3回目の手術(太ももからの自家再建、穿通枝皮弁)の後は、1時間に1度、術部の血流チェックがあり頻回に胸を見せる必要があったため、前開きのブラジャーは大活躍でした。前あきであれば、例え寝ていても看護師さんが勝手にチェックをしてもらえて便利でした。

術後の下着は病院で指定されている場合もあるので、確認してからの購入がベターです。

前開きブラジャーの画像
前開きのブラジャー

前開きブラジャーのメリット・デメリット

最大のメリットは着脱のしやすさ、傷を見せる時に手早く開ける便利さです。デメリットは、マジックテープ部分が傷に当たると痛痒くなりがちなこと、バリバリと着脱に大きな音がすること、マジックテープがもっこり膨らむことなどが挙げられると思います。可愛い下着が好きな方は、普段の生活では使いにくいかも!?

ノンワイヤーブラジャー

傷や痛みが落ち着いてから、お店やインターネットで購入したのがノンワイヤーのブラジャーでした。見た目は通常のブラジャーと変わらない可愛らしいものもあり、前開きのブラジャー卒業後にテンションが上がりました!

自分が望む乳房パッド(シリコン製の重みがあるもの、全摘ようの大きいサイズ、部分切除用の小さいサイズ)を入れる事ができるのか確認しましょう。

見た目だけで選ばずに、サイズ、肌ざわり、締め付け部分が傷に当たらないかなど、試着してから購入できたらベターです。

見た目が気に入って買ったものの、ゴムが当たって痛かった、パッドの入り口が大きいため着脱時にパッドが落下してしまった(しかも温泉施設の更衣室で)と言うのは、わたくしの失敗談です。

ワイヤーのないブラジャーの画像
ノンワイヤーブラジャー

ノンワイヤーブラジャーのメリット・デメリット

乳がん用ブラジャーであればパッドポケットが装備されていて、傷や再建後のお肌に優しい、見た目が通常のブラジャーと変わらず好みのものが見つかりやすい、というのがメリットだと思います。デメリットは、サイズ展開が少ない事。通常のブラジャーはアンダーバストとバストのサイズ(AカップであってもアンダーバストのサイズでA65、A70、A75、A80などサイズが豊富)で選ぶ事が多いですが、乳がん用はM,L,LLなど大まかな表示しかない場合が多いかも知れません。さらに、店頭販売しているお店が少ないため、見た目だけで選んでしまい失敗しやすいです。

通常のワイヤー入りブラジャー

ワイヤーブラジャーが好きな方は、やっぱりこれ身に着けたいですよね!傷が落ち着いてきてから使用して良いか主治医に相談をしてみましょう。インプラント再建をされている場合、気が付かないうちに皮膚が傷ついてしまう事があるので注意が必要です。

女性用ブラジャーの画像

通常のワイヤーブラジャーのメリット・デメリット

乳がん専用のワイヤー入りブラジャーはかなり数が少ないか、販売がされていないかも知れません。ここでは通常のワイヤーブラジャーを使った場合のお話とさせていただきます。
胸の安定感があり、豊富なサイズ・デザインの中から自分の好みのものを選べれるのが最大のメリット。

デメリットは、締め付けやワイヤーによる傷の心配がある事。使用開始時期は医師と相談し、しっかり試着をしてから選んで下さいね。乳房パッドを入れるパッドポケットの装備がないかも知れません、よくご確認を!

タンクトップタイプ

タンクトップ、またはキャミソールにパッドがついた下着。

その着心地の楽さから、一度身に着けるとブラジャーに戻れなくなるというウワサも・・・。

術後すぐは、痛みがあったり腕を上げる高さに制限があったりするので、身に着けるタイミングにはご注意を。

タンクトップタイプの乳がん下着の画像
タンクトップタイプの乳がん下着
タンクトップタイプの乳がん下着の画像
タンクトップタイプの乳がん下着

タンクトップタイプのメリット・デメリット

締め付けが少なく優しいのがメリットだと思います。

ただし、生地と胸を安定させている方法(素材)、パッドポケットの有無の確認を。胸の支えが”ゴム”であったら締め付けや当たりの心配があります。

ブラジャーに比べて、生地の肌ざわりやフィット感も重要になってくるので試着ができたらベターですね。

下着屋Cloveの乳がん下着”Kimihug®(キミハグ)”は、パッドポケット有り、胸の支えにゴムの使用なし(ストレッチレースを使用)、試着可能、大きいサイズ(LL)もあります。手前みそですが・・まずは気軽にご試着からどうぞ。

乳がん下着キミハグの画像
Kimihug®(キミハグ)パッドポケット
乳がん下着キミハグの画像
Kimihug®(キミハグ)胸のストレッチレース
下着屋Cloveの通販画像
Kimihug®(キミハグ)の試着
下着屋Cloveオンラインショップの画像
Kimihug®(キミハグ)詳細は公式オンラインショップへ

その他、乳房パッド

シリコン製、布製、スポンジタイプなど様々な種類があります。

綿を入れた手作りパッド、毛糸を編んだもの、保冷剤を組み合わせたものなど、工夫して自分に合うものを手作りしている人も多くいらっしゃいました。

シリコン製乳がんパッドの画像
シリコン製乳がんパッド
スポンジタイプの乳がんパッドの画像
スポンジタイプの乳がんパッド(左)ビーズタイプの乳房パッド(右)

ブラジャーに挟んで使用する汗取り製品
ブラジャーに挟んで使用する汗取り製品

シリコン製乳房パッドのメリット・デメリット

メリット:胸の同じくらいの重みがあるので安定感がありバランスがとりやすい。触り心地が柔らかく胸に近い。

デメリット:値段が高い(数万円のものが多い)、重さを支えるためにある程度はアンダー(胸の下)の締め付けが必要となる。

私の場合は夏場に汗をかくとかぶれてしまい、痒くて辛かったです。必要に応じて”ブラジャーに挟んで使用する汗取りパッド”なども利用してみて下さいね。

スポンジタイプ乳房パッドのメリット・デメリット

メリット:低価格で扱いやすい。汗を吸収してかぶれにくい。締め付けが優しいタンクトップタイプの乳がん下着にも合わせやすい。


デメリット:大きいサイズの方には重さが不十分(重さの左右差によりバランスがとりずらくなる)。触り心地はシリコン製に劣る。

最後に

乳がんが見つかった後も、絶対に専用製品を使わなければいけないわけではないです。傷や当たり、締め付けに気を付けて、自分の好みの優先順位をつけながら(利便性・見た目・素材などなど)快適な下着ライフを楽しんでほしいと思います^^

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乳がん貴女とホットフラッシュさんのココロとカラダをケアする下着
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